以前のコラムで、ヘバーデン結節(およびブシャール結節)に似た手指の病気について解説しました。
ヘバーデン結節・ブシャール結節に似た手指の病気
ここで紹介した関節リウマチや手根管症候群の他に、へパーデンに似ている疾患として、乾癬による手指の関節炎があります。
乾癬とは、紅い発疹(紅斑)が全身に出る皮膚の病気で、免疫低下が原因で起こると言われています。
当院には、皮膚科で乾癬と診断を受けた方が、関節の痛みや腫れを訴えて受診に訪れることがあります。
これは、「乾癬性関節炎(PsA)」と呼ばれる疾患で、国内では乾癬患者さんの10〜15%に発症すると報告されています。
皮膚科では皮膚の炎症が治療の対象であり、関節痛の治療は整形外科の領域です。
ヘバーデン結節とは別の病気ですが、進行すると関節変形を引き起こしてしまう可能性があるため注意が必要です。
乾癬性関節炎の主な症状
乾癬は全身に見られる慢性的な皮膚の病気で、乾癬性関節炎はその一つの病態です。
特に、つめや頭皮、臀部に乾癬が見られる方は、乾癬性関節炎になるリスクが高いと言われています。
主な症状として、次のものが挙げられます。
⚫︎手指や手首が腫れている
⚫︎手指や手首に痛みがある
⚫︎足先や足首に痛みがある
⚫︎足裏に痛みがある
ヘバーデン結節と共通する症状
手指に腫れや痛みがある点で、ヘバーデン結節と症状がよく似ています。
乾癬性関節炎の症状にはいくつかの種類がありますが、手足の指の第1関節を中心に左右非対称に多関節が侵される末梢関節炎においてはヘバーデン結節と共通点が多いです。
また治療をせずに放置しておくと、手指に変形が起きる可能性がある点も共通しています。
似て非なる病気ですが、どちらも早期の治療が大切です。
乾癬性関節炎の診断
乾癬性関節炎は採血検査では鑑別ができないため、問診と身体診察、場合によってはエコー検査を用いて診断を行います。
具体的には、乾癬の家族歴を聞き、皮膚症状や関節症状などから総合的に判断します。
乾癬性関節炎は関節リウマチとも症状が似ているため、リウマチの専門医でなければ、その鑑別は容易ではありません。
乾癬性関節炎が進行すると、関節の痛みで日常生活に支障が出るばかりではなく、ヘバーデン結節と同様に手指が変形する可能性があります。
「これまでに皮膚科で乾癬と診断されたことがある」「皮膚の病気で関節に腫れや痛みが出ている」という方は注意が必要です。
これらに該当する方は、お早めに当院にご相談ください。