教科書的には保存療法が定石とされるヘバーデン結節ですが、当院では根本治療のために、医療機関専用のサプリメントと薬を処方しています。
女性と男性では発症原因が異なるため、処方内容も変わってきます。
女性のヘバーデン結節の治療に用いるサプリメントと薬
女性の場合は、下記のサプリメントと薬をお出ししています。
・女性ホルモンを補充するサプリメント(エクエル)
・骨粗鬆症に関連するカルシウム、マグネシウム、ビタミン剤
・体内で産生できないDHA、EPAなど
女性のヘバーデン結節の主な原因は、更年期における女性ホルモン(エストロゲン)の急激な減少にあると考えられます。
そのため、治療には女性ホルモンを補充するサプリメントを主体にお出ししています。
当院で使用しているのが、大塚製薬の「エクエル」です。
これは、大豆イソフラボンから作られるエクオールを直接摂取できるサプリメントで、ヘバーデン結節の予防や改善に効果が期待できます。
大豆イソフラボンは豆腐や納豆などの大豆食品に含まれているもので、私たちが日常的に摂取しているものです。
しかし、成人女性の約半数は腸内細菌のはたらきで体内でエクオールを産生できますが、残りの半数の女性はエクオールを産生できません。
製薬会社の研究によると、効果を得るためには1日10mgのエクオールの摂取が必要で、これはお豆腐200グラム、納豆1パックに相当します。
また、エクオールは体内に蓄えることができないため、日々摂取する必要があります。
あまり大豆食品を食べない方や体内でエクオールを産生できない方にとっては、サプリメントで補うのが現実的です。
市販のサプリメントでもいい?
エクエルは市販されているので、患者さんの中にはご自身で購入されている方もいるかもしれませんが、ネット通販では模造品も出回っているようなので注意が必要です。
当院でお出ししているエクエルは医療機関専用のもので、成分自体は市販品と異なるわけではありませんが、安心して使用していただけます。
また、エクエルだけでもある程度の効果は期待できますが、それだけでは効果が限定的なため、当院では補助的な薬を併せて処方しています。
これらは、栄養を体内で吸収・機能しやすくするための薬で、患者さんに合わせて配合しているものです。
ちなみに当院では、指が痛む患者さんの負担を減らすために、錠剤を一つ一つシートから取り出さずに済むよう一包化してお出ししています。
効果が出るまでには個人差がありますが、早い方で1週間、時間がかかる方でも4週間くらいで、効果を実感できる場合が多いです。
その後は経過を見ながら、薬の量や種類を調整していきます。
改善に向かえば、徐々に薬を減らしていき、症状が落ち着いた段階で寛解とします。
しかし、一時的に症状が治まっても再発することもあるので注意が必要です。
男性のヘバーデン結節の治療に用いる薬
男性のヘバーデン結節の発症は、女性に比べれば数は少ないものの、決して珍しいものではありません。
発症する年齢は女性と同様に50歳前後が多いのですが、男性は両手左右対称で1本または2本の指に限局して見られることが多いのが特徴です。
もう一つの特徴は、比較的軽症の場合が多いということです。
そのため、「耐えられる痛みだから」とがまんして、症状が進行してしまいがちです。
男性のヘバーデン結節は、ホルモンバランスの変化ではなく、骨粗鬆症に起因するものと考えられます。
そのため、治療にはエクエルは用いずに、下記の薬を処方しています。
・骨粗鬆症に関連するカルシウム、マグネシウム、ビタミン剤
・体内で産生できないDHA、EPAなど
ひとえにヘバーデン結節といっても一様ではなく、性別や患者さんによって病態や症状の程度は異なります。
そのため、ご自身で判断せずに、症状に気づいた段階で受診し、正しい治療を受けることをおすすめします。
当院では来院が難しい方のために、ヘバーデン結節のオンライン診察も行っています。
オンライン診察では、ビデオ通話(ZOOM)を通じて診察し、必要な処方を行います。
来院していただいた場合と同様の治療を受けられるので、遠方にお住まいの方や病院に行く時間がとれない方はご利用ください。
がまんできる程度の痛みだと、「しばらく様子を見よう」と放置してしまいがちですが、治療をせずにいると指の変形は進んでしまいます。
一度変形してしまった指は元には戻らないので、手指に痛みや腫れが見られる場合は、できるだけ早い段階で当院にご相談ください。
いつまでも美しい指であり続けるために、治療に取り組んでいきましょう。