院長コラム

QOLの低下に直結する「メノポハンド」に要注意

2025.04.09
ヘバーデン結節とブシャール結節
整形外科の疾患

最近では、「メノポハンド」がメディアで取り上げられることが多くなりました。
先日もNHKのテレビ番組「あさイチ」で、「放っておかないで!更年期の手の不調」という特集が組まれていました。
メノポハンドについては、前にこのコラムでも解説しましたね。
「メノポハンド」更年期以降の女性に多い手の不調


メノポハンドとは、更年期以降に現れる手指の関節の痛みやこわばりなどの不定愁訴のことで、ヘバーデン結節やブシャール結節、腱鞘炎、手根管症候群、母指CM関節症などの疾患に関与しています。
原因は、閉経(メノポーズ)前後における女性ホルモン(エストロゲン)の急激な減少にあると考えられています。
メノポハンドを放置すると、QOL(生活の質)の低下につながることは言うまでもありません。
なぜならば、歯を磨く、料理を作る、箸を使って食べる、車を運転するといった、手指を使うあらゆる動作が困難になるからです。




メノポハンド」がメディアで取り上げられるようになった理由
メノポハンドがしばしばメディアで取り上げられるようになった背景の一つには、日本手外科学会がこの問題に注目し、予防や治療についての啓発活動を行っていることが挙げられます。
メディアで取り上げられることが増えたおかげで、メノポハンドに関する認知は少しずつ広がってきた印象ですが、その一方で、十分な理解や適切な治療が広まっていない現状もうかがえます。
例えば、手指の不調で病院を受診しても、「手の使い過ぎでしょう」と言われたり、「年のせいだから仕方がない」と言われたり。
また、痛み止めを処方されるだけの対症療法にとどまっている場合もあります。
原因が女性ホルモンの減少であることは分かっているので、エストロゲンと似たはたらきを持つサプリメントを補充すれば、根本的な治療につながるわけです。
しかしながら、どこの医療機関でもこうした治療を受けられるとは限りません。
これはメノポハンドに限った話ではありませんが、正しい診断と治療法を見極められる専門医にかかることをおすすめします。
医師の専門性を判断するのは容易ではないかもしれませんが、治療方針に透明性がある、 診察時に十分な説明がある、患者さんの意見を尊重している、などの基準をもって判断することは大切です。


話は少し脱線しましたが、手指の不調に気づいたら、一人で悩まずに当院にご相談ください。根本治療に取り組んで、できるだけ早く日常生活を取り戻しましょう。