院長コラム

関節リウマチについて

2023.02.08
整形外科の疾患

今回は関節リウマチについてのお話です。
関節リウマチはこうげんの一つで、免疫の異常により関節が炎症を起こして、骨や軟骨が破壊されて関節が変形したり動かなくなったりする病気です。
 
人には免疫といって他の生物やウイルスから体を守る機能が備わっています。例えば、いま流行しているコロナウイルスも感染すると免疫が働き、ウイルスをやっつける反応が起こります。(熱が出たりせきをしたり)関節には滑膜という膜が存在しますが、関節リウマチはこの滑膜が免疫の異常により炎症が起こります。間違えて自分で自分を攻撃しちゃう感じですね。
 
発症する原因は不明ですが、3割くらいの人が遺伝するので両親や祖父母が関節リウマチの方は要注意です。典型的な関節リウマチの症状には、両側対称性の関節の腫脹疼痛朝の手のこわばりがあります。症状が進行すると、皮膚や眼、血液、腎臓、肺など全身にさまざまな病気が出ます。
 
関節の痛みは手首の関節や手指のMP関節から発症することが多いです。似たような病気に「へバーデン結節」がありますが、へバーデン結節は手指の第一関節なので痛くなる関節が異なります。

 
家族に関節リウマチの方がいて、朝に手がこわばり手首が痛くなったら、リウマチの専門医に診てもらいましょう。私も日本リウマチ学会の専門医ですが、現在リウマチの治療はそれだけで一冊の分厚い本になるほど多岐にわたり、飲み薬や注射などさまざまあります。要は滑膜の炎症を抑えて異常に反応している免疫を抑えてあげる治療をします。
 
関節リウマチは治る病気ではないので、「かんかい」といって炎症が限りなく低い状態を維持することを目標に治療をします。厄介な病気ですが、以前に比べると良いお薬がたくさんあります。そのおかげで早期発見・早期治療により関節の破壊を抑えて、寛解の状態を維持できるようになってきました。
少しでも疑いがあれば早めの受診検査をお勧めします。