院長コラム

ひじ・ひざの「ぶよぶよしたコブ」の正体は?
滑液包炎かつえきほうえんとガングリオンの見分け方と治療法

2023.07.31
整形外科の疾患

「ひじの先端に、いつの間にか柔らかいコブができている」「ひざのお皿の周りがぷっくりと腫れて、動かすと少し違和感がある」。そんな症状に心当たりはありませんか?
痛みがないとつい放っておきがちですが、その正体は「滑液包炎(かつえきほうえん)」かもしれません。
よく似た症状に「ガングリオン」がありますが、じつは原因や治療法が異なります。
この記事では、なぜコブができるのか、そして、すぐに受診すべき危険な腫れの見分け方について分かりやすく解説します。

 

Q.ひじやひざに急に「コブ」のようなものができました。これは何ですか?
A.節の周囲には、摩擦を減らすための小さな袋「滑液包」があります。
この滑液包に炎症が起こり、液体が過剰に溜まって腫れる状態が滑液包炎です。
ひじの先端やひざ周囲に、柔らかいコブのように見えることがあります。

 

Q.なぜ液体が溜まってしまうのですか?
A.主な原因は、スポーツや仕事による特定の部位の「使いすぎ(オーバーユース)」や、ぶつけたりすることによる衝撃です。
繰り返し同じ動作をすることでひじに負担がかかり、発症することもあります。

 

Q.滑液包炎になりやすい部位はどこですか?
A.ひじ(曲げた時の先端)、ひざ(お皿のすぐ上や下)、足首(外側)によく見られます。肩関節にも多く発生しますが、肩の場合はコブとして表面には出てきません。

 

Q.よく聞く「ガングリオン」とは違うものですか?
A.見た目は似ていますが、中身が違います。
注射針で溜まっている液体を採取すると判別でき、ガングリオンの内容物は「ゼリー状」ですが、滑液包炎は「液体状」です。
滑液包炎には大きく分けて次の2つの種類があります。

 

①一般的な滑液包炎:使いすぎやけがによるもの。痛みはあまりなく、腫れやコブが気になって受診されるケースが多いです。
②化膿性(かのうせい)滑液包炎:黄色ブドウ球菌などの細菌感染によるもの。強い痛みがあり、赤く腫れて熱を持ちます。

 

Q.どのような治療を行いますか?
A.種類によって治療方法は異なります。

 

一般的な場合:まずは安静にし、負担がかかる運動を控えて経過を見ます。注射で液体を抜く(穿刺)こともありますが、出血を伴う場合は再発しやすいため、4週間以上あけてから再度処置を行うこともあります。
化膿性の場合:細菌を抑えるために、抗生剤の内服や点滴が必要です。

 

Q.痛みがないので放置しても大丈夫ですか?
A.痛みが軽くても、放置すると腫れが大きくなったり、感染を起こしたりするリスクがあります。
特に赤み・熱感・強い痛みがある場合は、化膿性の可能性があるため早めの受診をおすすめします。

 

まとめ
ひじやひざにできる「コブ」は、日常の動作やスポーツによる負担、あるいは軽い衝撃が積み重なって起こることがあります。
一般的な滑液包炎であれば安静で改善することもありますが、細菌感染による化膿性滑液包炎は早期治療が必要です。
また、ガングリオンと見た目が似ていても、中身や治療法は異なります。
自己判断せず、医療機関で正しく診断を受けることが、早期改善への近道です。
「ただのコブだから」と放置せず、違和感や腫れが気になったらお早めに当院へご相談ください。