院長コラム

ヘバーデン結節は遺伝する? 予防法を解説します

2025.04.15
ヘバーデン結節とブシャール結節
整形外科の疾患

親がヘバーデン結節になると、いつか自分も発症するのではないかと不安に思う方も多いかもしれません。
ヘバーデン結節は遺伝するのか?
今回は、ヘバーデン結節と遺伝の関係や、その予防法について解説します。




遺伝要因と環境要因が関与している可能性

結論から言うと、へバーデン結節の遺伝性は証明されていません。
しかしながら、母と娘、姉と妹のように、高い確率で家族間での発症が認められていることから、その可能性を否定できないのも事実です。
海外の論文では、へバーデン結節をはじめとする変形性関節症(OA)の遺伝率が50%以上であることが示唆されています(Tim D Spector , Alex J MacGregor “Risk factors for osteoarthritis: genetics”)。
日本整形外科学会でも、母や祖母がヘバーデン結節になっている人は、体質が似ていることを考慮して、指先に負担をかけないように注意が必要と呼び掛けています。

病気の遺伝は分かりませんが、エクオールを体内で産生できるかどうかの体質の遺伝はあるかもしれません。
また、親子で似た食生活を送っている場合は、大豆食品の摂取不足などが原因で、母子ともにヘバーデン結節になるということも考えられます。


ヘバーデン結節をどう予防するか?

ヘバーデン結節は一定の年齢になると、誰にでも発症する可能性のある病気です。
確実な予防法はありませんが、次のことを意識するとよいでしょう。


1. 関節の負担軽減
ヘバーデン結節は主にエストロゲン(女性ホルモン)の減少に起因していますが、手指の使い過ぎも発症リスクを高めるとされています。そのため、仕事やスポーツなどで手指を酷使している人は注意が必要です。痛みがある時は、できるだけ指の関節を動かさないようにしましょう。
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2. 食生活の改善
大豆製品に含まれるイソフラボンは、腸内細菌によってエストロゲンに似たはたらきをするエクオールに変換されます。エクオールはヘバーデン結節の予防や治療に有効だと考えられるので、日常的に大豆食品を摂ることが重要です。ただし、日本人の約半数はこの腸内細菌を持たないため、エクオールを産生できません。また、産生できる人でも毎日一定量の大豆食品を摂る必要があります。
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3. 早期の受診
ヘバーデン結節は症状に気づいた時点で、できるだけ早く対処することが肝心です。初期の段階で治療を受ければ指の変形を防げますが、進行してしまうと元に戻すことはできません。そのため、手指の関節に違和感や痛みを覚えたら、我慢せずに整形外科を受診しましょう。


このコラムで何度もお伝えしているように、ヘバーデン結節は治療できない病気ではありません。
肝心なのは、予防に努めること。そして、早期に発見して根本治療に取り組むことです。
手指の不調でお悩みの方は、当院までお気軽にご相談ください。
オンライン診察も一日お一人限定ですが、引き続き予約を受け付けています。
長野市の近くにお住まいでない方でも無理なく受診いただけます。
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予防と早期受診を心掛けて、手指の健康を守りながら快適な生活を目指しましょう。