院長コラム

放っておくとこわい足首捻挫

2023.06.26
整形外科の疾患

コロナが落ち着いてきてスポーツをする機会が増えているためか、運動時のけがが増えています。特に、サッカー、バスケットボール、バレーボールなどで多いけがは、足関節(足首)の捻挫ねんざです。

症状
スポーツや歩行などで不自然な形で関節をひねり靭帯や関節包が損傷した状態です。足関節捻挫のほとんどは、足首をグキッと内側にひねることで生じ、外くるぶしに痛みと腫れがあります。子どもの場合は、骨折を伴うものが多く検査が必要です。

診断
捻挫かどうかは問診や触診などで分かりますが、足首の特定の部分が激しく痛む、痛みで足首に体重を掛けられないなどの骨折が疑われる場合はX線(レントゲン)検査を行います。他のけがの可能性がある場合はMRIを使うこともあります。

捻挫の重症度には次の3つの段階があり、損傷の度合いに応じた治療が必要です。
1度捻挫 靭帯が伸びる程度の損傷
2度捻挫 靭帯の一部が切れている状態
3度捻挫 靭帯が完全に切れている状態

治療
スポーツ外傷によるけがの応急処置としては、RICEが基本です。これは、安静(Rest)、氷での冷却(Icing)、弾性包帯やテーピングでの圧迫(Compression)、患部の挙上(Elevation)の頭文字を取ったものです。この応急処置を行うことで、けがの回復は早まります。

1度捻挫と2度捻挫については、RICE処置で治癒しますが、3度捻挫についてはこれに加えてサポーターやバンデージなどで2、3週間の固定が必要です。まれに手術を行う場合もあります。
足首をひねると腫れと痛みが出るのですぐに受診する方が多いですが、けがをして1ヶ月以上経過してから受診に訪れる方もいます。整骨院に行ったり、歩けるからと様子を見ていたりといった具合です。

足首の捻挫は適切な時期(特にけがをしてから3週間以内)に、適切な治療をしないと痛みが残ったり捻挫を繰り返したりするようになってしまいます。
特に、けがをしてから3日以内に内出血(青あざ)がある場合は、整形外科を受診してください。損傷が重度の場合は軟骨損傷を伴っていることもあり、放っておくと変形性足関節症になるおそれもあるため、しっかりとした治療が必要です。
また、スポーツ復帰にはリハビリテーションも重要です。
痛みがひいたからといってすぐに運動を再開すると、捻挫を繰り返したり、足首に痛みなどの後遺症が残ったりする場合があります。リハビリにはいくつかの段階があるため、医師の指導の下で行いましょう。

捻挫などのけがは「しばらく様子を見よう」「そのうち治るだろう」と自分で判断しがちですが、症状を長引かせないためにも早めに整形外科にかかることをおすすめします。医師による適切な治療で、スポーツの早期復帰を目指しましょう。