院長コラム

寒くなると体の節々が痛む理由とその対策

2023.10.17
整形外科の疾患

長かった夏が終わり、急に朝晩涼しくなってきましたね。長野市はすでに寒いくらいです。
診察していても、「寒くなったら節々が痛い」とか「毎年、冬になると神経痛が気になる」という患者さんがよくいらっしゃいます。
寒くなると体に痛みやしびれが出るのはなぜなのでしょうか?
今回はその原因と対策を解説します。

寒い季節の痛みやしびれの原因
寒い季節になると、肩や首すじにこりや痛みが出たり、ひざ痛が起きたりします。
この原因は、寒さによって患部の血流が悪くなることにあります。
そのメカニズムを説明すると、次のようになります。

●寒さによって患部の血流が悪くなる。
●血流が悪くなると、酸素や栄養の循環が滞りやすくなり、体に老廃物が溜まりやすい状態になる。
●筋肉がどんどん硬直しさらに血流が悪くなり、組織が酸素欠乏状態になると、痛みの物質が産生される。
●痛みの物質が産生されると、交感神経の緊張が強くなる。
●交感神経の緊張は血管を収縮するため、さらに血流が悪くなるという悪循環が起きる。また末梢血管が収縮すると、痛覚や触覚が敏感になり痛みをより感じやすくなる。

このような仕組みで体の節々に痛みが生じているのですが、血流が悪くなることで起きる腰部脊柱管狭窄症のような病気は、寒さによってさらに痛みが増強されます。

自分でできる対策
寒さによって血行が悪くなることに起因する症状なので、その対策は体を冷やさないようにすることです。
すぐにできる対策を4つご紹介します。

①食事
体の温まる食材や飲み物を意識して取りましょう。
体の温まる食材としては、ショウガやニンニク、ネギなどが代表格です。ショウガ湯や温かいハーブティーを飲むのも良いでしょう。反対に、トマトやキュウリ、レタスといった夏野菜は体を冷やしてしまいますので一度食生活や取り入れる食材を見直してみるのもいいですね。

②服装
重ね着や保温性の高いインナーウェアを選ぶなどして、体を冷やさないように工夫しましょう。
特に、首・手首・足首の「3つの首」は、太い血管が通っており皮膚も薄いことから外気の影響を受けやすい部位です。タートルネックや手袋、靴下などで温かくすると良いでしょう。また、ひざや腰を温めるのも効果的です。

③運動
患部の状態に応じてストレッチをしたり、関節であれば曲げ伸ばしの運動をしたりすると良いでしょう。デスクワークをしている人などは特に血行が悪くなりがちです。体に負担がかかりにくい、ウォーキングやラジオ体操などもおすすめです。ただし、痛みがひどい場合や炎症が見られる場合は運動を控えてください。

④入浴
しっかりと湯船に浸かって入浴しましょう。
それも熱いお湯にサッと入るのではなく、40℃くらいのぬるめのお湯に長く浸かる方が体の芯から温まるのでおすすめです。

この他にも、漢方薬で血行を良くして体を温めたりする方法もあります。
これから寒くなる冬に向けて、自分でできる対策を取り入れて、痛みのない日々を過ごしたいですね。
症状や痛む部位によって対処方法は異なりますので、一度は当院までご相談ください。