院長コラム

ヒビも骨折? 骨折の種類と症状をわかりやすく解説

2024.02.09
整形外科の疾患

先日、患者さんを診察していて患部のX線(レントゲン)写真を撮ったところ、案の定、骨折が見つかりました。
「あーやっぱり、残念ながら骨折していますねー」とお伝えしたところ、「えーっ! 骨折ですかー‼️ ヒビが入っているとかじゃなくて骨折なんですか⁉︎」と驚かれていました。
これは患者さんに骨折の説明をする時によくある場面で、「ヒビも骨折なんです」とお話ししています。
骨折と聞くと、骨が折れることだけをイメージしがちですが、実際にはいろいろな種類があるのです。
今回は、骨折の種類や症状、治療などについて解説します。

骨折とは何か? 骨折の原因と症状
骨が折れることだけが骨折でないならば、そもそも骨折とは何なのでしょうか?
骨折とは、おしなべて骨が壊れることを言います。
骨にヒビが入ったり、一部分が欠けたり、凹んだりしても全て骨折なのです。
骨折の状態は、次の2つに分かれます。

①完全骨折
完全に骨が折れている状態
②不全骨折
骨形は保たれているが、部分的に壊れている状態


一般に言われる骨折は完全骨折、ヒビが入るように折れる亀裂骨折などは不全骨折に該当します。
健康な骨であれば、一度によほど大きな力がかからないかぎりは骨折しませんが、別の原因で弱い力でも骨折することがあります。
骨折の原因として、次の3つが挙げられます。

①外傷性骨折
外から強い力が加わったことで生じる骨折。交通事故やスポーツでの衝突や転倒・転落などが原因で起こるもの。
②疲労骨折
骨の同じ部位に繰り返し負荷がかかることで生じる骨折。ランニングやジャンプといった動作を繰り返すスポーツなどが原因で起こるもの。
③病的骨折
病気によって骨全体が弱くなり、わずかな負荷で生じる骨折。骨粗鬆症や骨腫瘍などの病気に起因するもの。

症状と診断

骨とその周囲には神経と血管が集まっているので、骨折するとその部位に痛みと腫れが現れます。
骨折がひどいと、動かせなくなったり、外見が変形したりします。
時には、骨折と同時に皮膚が破れて骨折部が露出する場合も。
これは開放骨折と呼ばれる状態で、傷口からの細菌感染が起こりやすく、治療を急ぐ必要があります。

骨折が明らかな場合もあれば、似た症状の打撲や関節脱臼と鑑別しにくい場合もあります。
そのため、診断をはっきりさせるためにX線写真を撮ります。
だいたいはこれで診断がつきますが、不全骨折などX線写真に写りにくい骨折の場合は、CT検査を行います。
また、子どもの場合はX線写真に写らない部分があるので、必要に応じてけがをしていない方のX線写真も撮って比較することがあります。


治療と予防

骨折の治療方法は原因や程度、骨折部位などによって千差万別ですが、大きく保存療法と手術療法に分けられます。
保存療法は、骨折部がグラグラしないようにギプスで固定します。
手術治療は、皮膚を切開し、金属製の板や棒で骨をとめてズレと動きを防ぎます。
どちらにしても、基本は折れた骨を元の場所に戻して固定して安静にすることです。
骨の中には生きた細胞があり、骨折しても治癒する能力を備えています。
一般的には、骨折部の転移(ズレ)が小さく、元気な細胞が多ければ、骨はつきやすいです。

骨折した時の応急処置として、以前、このコラムでも紹介した「RICE処置」があります。
RICE処置とは、Rest(安静)・Icing(冷却)・ Compression(圧迫)・Elevation(挙上)の4つの頭文字をつなげて名付けられた基本的な応急処置方法のことです。
外傷を受けた時などに行うことで、内出血や腫れ、痛みを抑え、回復を助ける効果があります。

骨折の予防は、年齢や生活環境、基礎疾患によっても注意点は異なります。
スポーツを行う人であれば、ウォーミングアップや準備体操をしっかり行うこと。
また、体の一部分に負荷がかからないよう工夫しましょう。
高齢者など骨がもろくなっている可能性が高い人は、段差や階段などに注意して、自宅に手すりを取り付けるなど安全対策を行いましょう。
日頃から適度な運動を行い、筋力や柔軟性を高めておくことも骨折の予防には有用です。

冬場は、凍結した路上での転倒や車のスリップによる交通事故などが起こりやすい季節。
事故には充分気を付けたいものですが、もしも骨折が疑われるけがをしてしまった場合は、病院やクリニックの整形外科を受診してください。
たまに交通事故で受傷して整骨院に行く方がいますが、骨折を診断して治療できるのは整形外科の医師だけです。
整骨院は柔道整復師が施術を行うところで、X線写真の撮影や薬の処方はできません。
交通事故やスポーツなどでのけがで、痛みや腫れがある場合は、お早めに当院にご相談ください。