ヘバーデン結節のつらいところは、その痛みもさることながら、指が変形すると元には戻らないことです。
どうにかして自分で治したいと、本やインターネットで治療法を調べる人も多いでしょう。
「テーピングをすれば変形を防げるのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、残念ながら根本的な治療にはなりません。
痛みの強い一定の期間は安静を保つという意味では有効だと思いますが、テーピングはあくまで痛みの軽減や関節の安定化を目的とした補助的な治療法です。
安静を保つ目的でテーピングを行う場合も、使うテープの種類や巻き方については医師に相談することをおすすめします。
では、マッサージはどうでしょうか。
テーピングと同様に根本的な問題を解決するものではありませんが、マッサージは血流改善につながるので、疼痛に対してはある程度は効果があると思います。
積極的にマッサージをすすめる医師もいるようですが、痛みの強い時に行うとかえって炎症を悪化させてしまう可能性があるので注意が必要です。
ヘバーデン結節は体の内側から治す
ヘバーデン結節の予防または進行を抑えるために、ご自身でできることは、指に負担をかけ過ぎないことです。
特に、指をよく使う仕事に就いている人や日常的にゴルフやテニスなどの指を使うスポーツをしている人は気を付けたいですね。
このあたりのことは以前の記事で書いたのでご参照ください。
ゴルフを楽しむ男性にヘバーデン結節が多いのはなぜ?
もう一つ、自分でできることとしては、日常的に大豆食品を摂ることです。
ヘバーデン結節には、女性の場合、更年期におけるエストロゲン(女性ホルモン)の減少が深く関係しています。
そのため、根本治療にはエストロゲンのバランスを整える必要があるのです。
具体的には、イソフラボンから作られる「エクオール」という成分を摂る必要があります。
イソフラボンは、ご存じの通り豆腐や納豆などの大豆食品に多く含まれているものですね。
これらを日常的に食べることで体内でイソフラボンからエクオールを生成することができます。
ただし、イソフラボンを腸内細菌でエクオールに変換できない人が一定数います。
つまり、大豆食品を毎日食べているからといって必ずしもエクオールを摂れているとはかぎらないということです。
この場合はサプリメントを使って、低下した女性ホルモンを補充することになります。
※男性の場合は女性と原因が異なり、エクオールを摂取しても改善は期待できないため、当院ではビタミン剤の補充療法を行っています。
先述したような自分でできるケアもありますが、根本治療のためには原因を見極めたうえでの正しいアプローチが必要です。
早い段階でヘバーデン結節の治療を始めれば、痛みの悪化や指の変形を防げます。
「まだ我慢できる痛みだからしばらく様子を見よう」などと思いがちですが、そうしている間に痛みは増し指の変形は進行してしまいます。
ヘバーデン結節の初期段階に見られる、第1関節の痛み、腫れ、熱感、起床時の手指のこわばりなどに気づいた場合は、お早めに当院までご相談ください。