院長コラム

ヘバーデン結節と骨粗鬆症、重症化を防ぐためにできること

2024.08.16
ヘバーデン結節とブシャール結節
整形外科の疾患


前回のコラムでは、更年期(40代半ばから50代半ば)から急増する、ヘバーデン結節と骨粗鬆症について解説しました。
これらの病気の背景には、エストロゲン(女性ホルモン)の分泌の低下があります。
エストロゲンの分泌量の減少には、加齢による卵巣機能の低下が大きく関係していますが、それ以外の要因もあります。


加齢以外のエストロゲンの分泌量低下の要因

①ストレス
エストロゲンには脳内のセロトニンを活性化し、気分を安定させる効果がありますが、ストレスが続くとその分泌が低下します。

②栄養不足
栄養が偏った食事や無理なダイエットをすると、ホルモンバランスが乱れてエストロゲンの分泌が低下することがあります。

③不健康な生活習慣
偏食、飲酒、喫煙、夜ふかし、冷え、水分不足などの生活習慣は、エストロゲンの分泌を低下させる要因になります。


ヘバーデン結節や骨粗鬆症の進行を抑えるために必要なこと

エストロゲンの減少が引き起こす、骨粗鬆症やヘバーデン結節などの疾患を予防するためには、日頃から次の3つに気を付けることが大切です。

①ストレスをため込まない(趣味などによる気分転換やリラックスできる一人の時間をつくるなど)。

②バランスの取れた食事をとる(大豆食品や肉・魚・卵などの動物性たんぱく質、亜鉛・鉄分を多く含むナッツ類などの食材をバランスよく食事に取り入れる)。

③健康的な生活習慣を心がける(適度な運動、十分な睡眠など)。

また、ヘバーデン結節と骨粗鬆症の重症化を防ぐためには、次の2つが大切です。

①定期的に骨密度検査を受ける
②必要に応じてサプリメントを利用する

①骨密度検査
骨粗鬆症は閉経を迎えた50歳以降に増加し、60代の女性の約5人に1人に発症するといわれています。
この病気は見た目には分からず自覚症状もないことから、たとえ骨がスカスカになっていたとしても気づくことはありません。
骨折してから気づくのでは遅く、そうならないためにも定期的に骨密度検査を受けることが大切です。
骨密度検査を受けたことのない方にはあまりイメージできないかもしれませんが、検査台に横になって数分で終わるかんたんな検査です。
保険が適用されるので、3割負担の方であれば千円ちょっとで受けられます。
当院で採用しているのは、DXA法(デキサ法)という日本骨粗鬆症学会のガイドラインでも推奨されている検査法です。
他の検査に比べて精度が高く、骨の健康状態を正確に把握できます。
骨密度が分かれば早い段階で適切な治療を行えるため、骨折のリスクを抑えることができます。
当院の骨密度検査について詳しく知りたい方は、こちらのページをご覧ください。

②サプリメント
へバーデン結節の女性の治療には、低下したエストロゲンの補充が有効です。
当院ではエクオールという大豆から作られる成分を効率よく摂れるサプリメントをお出ししています。
エクオールはエストロゲンと似た働きがあるため、へバーデン結節の進行の抑制だけでなく、更年期症状の緩和や骨粗鬆症の予防などにも効果が期待できます。
個人差はありますが、しばらく使用を続けることで多くの場合で改善が見られます。
また、患者さんの病態を見極めたうえで、これに加えて骨粗鬆症に関連するカルシウム、マグネシウム、ビタミン剤、DHA、EPAなどをお出ししています。
大切なのは、指が変形する前にこうした治療を行うことです。
「指がこわばって動かしにくい」「指の関節が痛む」などの症状がみられる場合は、早期の受診をおすすめします。


エストロゲンの減少は自然な加齢現象の一部ですが、その影響を理解し適切に対処することで、より健康的な生活を送ることができます。
女性の場合は40代半ばからヘバーデン結節や骨粗鬆症のリスクが増加します。
いずれの病気も早期に治療に取り組めば、つらい思いをしないで済みます。
ヘバーデン結節や骨粗鬆症で不安のある方は、お気軽に当院にご相談ください。