症状別療法

へバーデン結節・ブシャール結節

中高年女性に多い、へバーデン結節

当院には、指の第1関節の変形や痛みでお悩みの患者さんが多く来院しています。
これは「ヘバーデン結節」と呼ばれる病気で、中高年の女性に多い典型的な症状です。
主な症状やその原因、治療法を解説します。

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目次

へバーデン結節とは?

へバーデン結節とは、手指の第1関節が腫れて熱感を伴って痛む病気です
手指の第2関節が痛くなる「ブシャール結節」という病気もあります。

どちらも病気を見つけた人の名前が付いているので病名は異なりますが、現在では同じ病気とされています。40歳代以降に発症し、圧倒的に更年期(閉経前後の10年間)の女性に多い病気です。

症状としては次のようなものがあります。

  • 指の第1関節が腫れや変形がみられる。
  • 指が曲がったまま伸ばせない。
  • 爪の付け根に水ぶくれのようなものができている(ミューカスシスト)。
  • 痛みで強く握れない。
へバーデン結節とブシャール結節

「原因不明、治療は対症療法」と教科書的には書かれていますが、これは全くもって整形外科医の勉強不足。へバーデン結節にははっきりした原因があり、治療方法もあります。 「痛み止めを飲んで様子を見ましょう」では、一時的に緩和しても痛みは再発し、手指の第1関節は変形してしまいます。特に女性にとって、指の変形はとても辛いことですよね。

私もかつては「しばらくすれば痛みは止まるし、指は変形しますが一生痛むわけではありません」などと説明していました。その誤りに気付くきっかけになったのは 、妻がこの病気になった時のこと。同じ説明を妻にしたところ、「そんなのは治療じゃない、指が変形するのは嫌」と言われたからです。以後、教科書的な知識をアップデートし、へバーデン結節の症状をしっかり抑えて変形を防ぐ治療に取り組んでいます。

へバーデン結節の原因

へバーデン結節の発症は圧倒的に更年期の女性に多いとお話ししました。
では、なぜ更年期の女性に多く発症するのでしょうか? その原因について見ていきましょう。

更年期には閉経に伴い卵巣の働きが衰えて、女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌が急激に低下します。エストロゲンの分泌が低下すると、エストロゲンによって調整されていた体のいろいろな機能がうまく働かなくなり、更年期障害と呼ばれる状態になります。つまり、へバーデン結節は、更年期障害の症状の一つと考えられます。

まれではありますが、男性にもヘバーデン結節は発症します。男性も更年期障害があると言われていますが、エストロゲンは分泌していないので不思議ですよね。じつはこれ、骨粗鬆症(骨粗しょう症)が関連していると推測されます。骨粗鬆症も更年期障害によって引き起こされる病気の一つです。

へバーデン結節と骨粗鬆症の関係

骨粗鬆症とは、骨代謝の異常により全身の骨が脆弱化して、ちょっとした外傷で骨折してしまう病気です。
骨代謝とは、骨が作られたり壊されたりしながら日々、新しいものに入れ替わることを意味します。骨粗鬆症にはいろいろなパターンがありますが、簡単に言うと、骨が壊されるスピードが作られるスピードよりも早くなることで骨が弱くなっていきます。

ここからは推測の話ですが、へバーデン結節は骨粗鬆症の中の部分的な症状ではないかということです。へバーデン結節は、骨粗鬆症初期のまだ骨量が低下する前の状態の人に発症すると考えています。

ヘバーデン結節の根本治療

その治療は関節固定術などの対症療法が一般的ですが、当院ではヘバーデン結節の根本治療に取り組んでいます。
具体的には、女性の場合、低下した女性ホルモンを補充する治療を行います。大豆に含まれるイソフラボンから作られる「エクオール」という物質で、当院の女性スタッフもこれでヘバーデン結節の症状が消失しました。ただし約半数の人はホルモンの補充を行っても症状が残存しています。私の妻もホルモンの補充だけでは治りませんでした。

当院では女性ホルモンの補充に、大塚製薬の「エクエル」を使用しています。これは、エクオールを効率よく摂れるサプリメントです。日本人女性の場合、豆腐や納豆などの大豆食品からエクオールを作れる割合は約50%といわれ、若い世代にいたっては20〜30%しか産生できないという報告もあります。

ホルモン補充療法で効果のない方や男性のへバーデン結節には、ビタミン剤の補充療法を行います。これでほぼ全ての人のへバーデン結節を治療することができます。
ビタミン剤の補充は人それぞれに必要な物が異なりますが、こちらは保険診療の中で最適量を提供しています。

当院を受診する中高年女性においては、手指の痛みと日常生活での支障から関節リウマチではないかと心配して来られる患者さんが多いです。症状の診察やX線検査、血液検査などを行うことで、その心配を解消することができます。

これまで見てきたように、へバーデン結節にははっきりした原因と治療法があります。加齢性の疾患であるため痛みを我慢している患者さんも大勢いるようですが、「治らないもの」と諦めずに、指の痛みや変形が進む前に早期の治療に取り組みましょう。

最近、指の痛みや変形で悩んでいるという方は、当院までご相談ください。

こんな症状の場合はご相談ください

  • 示指から小指にかけて第1関節が赤く腫れている。

  • 第1関節が曲がっている。

  • 指の関節が痛い。

  • 第1関節の指が動かしづらい

  • 強くにぎる事ができない。

  • 第1関節に水ぶくれの様なでっぱりがある。