院長コラム

女性に多い足の悩み「外反母趾」自分でできる予防法は?

2023.10.09
整形外科の疾患

当院は長野市の若穂地区にありますが、市内だけでなく近隣の須坂市や千曲市から受診に来る患者さんも多くいらっしゃいます。
先日、須坂市から来院した患者さんは、「土曜日の午後に診療していると聞いて来た」とおっしゃってくださいました。
当院では土曜の午後5時まで診療を行っており、平日は仕事で来られないという方もよく来院しています。
気になっている症状がありましたら、お気軽にご来院ください。
さて今回お話しするのは、女性に多い足の悩みについてです。

外反母趾の症状と原因
女性に多い足の病気に、外反母趾がいはんぼしがあります。
これは、足の親指(母趾ぼし)が「く」の字に変形し、親指の付け根の関節(MTP関節)が突き出てしまう病気です。
突き出た部分が靴に当たることで痛みや炎症を起こし、ひどくなると靴を履いていなくてもズキズキと痛むようになります。


どうして女性に多いかというと、パンプスなどの先が細い靴やハイヒールのようなかかとの高い靴を履く機会が多いからです。
こうした靴を履くと、親指が靴の先端に当たり圧迫を受けて変形が起こります。
昔はこうした靴を履く習慣が日本になかったので外反母趾がいはんぼしはあまり見られなかったようですが、現代では珍しい病気ではありません。
外反母趾の原因は、足に合わない靴の着用だけでなく、生まれつきの足の形状にも関係しています。

日本人の足の形
人間の足の形は、大きく次の3種類に分けられます。
あなたの足の形はこのうちのどれでしょうか?
⚫︎エジプト型 親指(母趾)が一番長い
⚫︎ギリシア型 人差し指(第2趾)が一番長い
⚫︎スクエア型 親指と人差し指が同じ長さ

日本人の大半はエジプト型の足といわれています。
こうした形の足は親指が靴の先端に当たって圧迫を受けやすく、外反母趾になる可能性が高いのです。


予防と治療
足の形に合った靴を履くことが一番なのですが、自分でできる予防法もあります。
一つは、足の体操による予防法です。
グーとパーのように足の指を曲げて開く動きを繰り返し行います。
この体操で親指を支えている母趾外転筋という筋肉が鍛えられ、外反母趾の予防につながります。
もう一つの予防法は、足の裏のマッサージです。
座った状態で、右足の甲を右手でつかみます。足裏の真ん中より少し上のくぼんだ部分に左手の親指を当てて、円を描くようにもみこみます。
このくぼんだ部分を母指内転筋と呼びますが、硬くなると外反母趾になりやすくなります。マッサージでもみほぐすことで予防効果が期待できます。(椅子に座った状態でもできます)
どちらもテレビを見ながらでもできるので、意識して日常的に行うと良いでしょう。


すでに外反母趾がみられる方は、治療が必要です。
治療には、保存療法手術療法があります。
保存療法は、装具を使用するものが一般的で、指の矯正や痛みの緩和を目的に行います。
具体的には、親指と人指し指の間にシリコン素材のセパレーターをはめたり、足に外反母趾サポーターを装着したりします。


手術療法は、保存療法で痛みが取れない場合や変形が改善されない場合に行います。
変形の進行によって手術法も異なりますが、一般的なのは足の親指の付け根にある中足骨ちゅうそくこつを切る方法です。
手術は1時間以内で終わりますが、従来の靴を履いて歩けるようになるまでには2カ月間くらいかかります。
改善すると言われても、できれば手術は受けたくないですよね。

症状に気づいたら、我慢せずに早めに当院までご相談ください。
適切な治療を受けて早期の回復を目指しましょう。