院長コラム

骨粗鬆症こつそしょうしょうによる脆弱性ぜいじゃくせい骨折と骨折の連鎖(ドミノ骨折)

2023.11.27
整形外科の疾患

前回のコラムで、骨の強度が低下し軽い外力で背骨がつぶれてしまう「骨粗鬆症こつそしょうしょうによる脊椎椎体骨折せきついついたいこっせつ」について紹介しました。
今回はそれに関連して、「骨折の連鎖(ドミノ骨折)」について解説します。

「骨折の連鎖(ドミノ骨折)」の症状・原因
骨粗鬆症などにより骨の強度が低下して、軽い外力で起こる骨折を「脆弱性ぜいじゃくせい骨折」と言います。
ここで言う軽い外力とは、一般的には立った高さからの転倒を基準として、それより弱い力を指します。
例えば、転んで手をついたり、尻もちをついたり、重い物を持ち上げたりといった場合です。
通常であれば骨折には至りませんが、骨の強度が低下していると骨折の要因になります。

脆弱性骨折の例として、下記のものがあります。
⚫︎脊椎椎体せきついついたい骨折(背骨の骨折)
⚫︎大腿骨近位部だいたいこつきんいぶ骨折(脚の付け根の骨折)
⚫︎橈骨遠位端とうこつえんいたん骨折(手首の骨折)
⚫︎上腕骨近位部じょうわんこつきんいぶ骨折(肩の付け根)

問題はこうした骨折は全身的な骨の脆弱性が基盤にあるため、さらなる骨折につながる危険性があるということです。
つまり、一度骨折すると骨折を繰り返すリスクが高まるわけです。
まるでドミノ倒しのように次々と骨折が起こることから「ドミノ骨折」とも呼ばれます。
それも同じ部位の骨折だけでなく、他の部位の骨折リスクも上昇するというデータがあります。

ではなぜこうした骨折の連鎖が起きるのか?
一つは、骨折後の筋力の低下が原因にあります。
しばらく体を動かせないことで運動機能が低下し、転倒する危険性が高まるためです。
もう一つは、体を動かせなくなることで骨への刺激が減り、骨の脆弱化が進むためです。
これらが複合的に関与して、骨折連鎖の悪循環が生じると考えられます。

骨密度は年齢や性別によっても異なりますが、親子2世代で行った骨密度とライフスタイルの調査では、親子で骨密度値が近似していることが報告されています。
この調査結果には遺伝相関やカルシウム摂取、身体活動における相関が見られます。
実際、両親のどちらかに大腿骨近位部骨折だいたいこつけいぶこっせつの既往歴がある場合、その子どもも同様に骨折のリスクが高いと言われています。


診断
脆弱性ぜいじゃくせい骨折の診断は、主にX線(レントゲン)検査や骨密度の測定によって行います。
X線検査では骨折部位や骨折の程度を確認し、骨密度測定では骨の強度や骨粗鬆症の有無を判定します。
また必要に応じて、CTやMRIなどのより詳細な検査を行う場合もあります。

治療と予防
骨折の部位や程度によって異なりますが、基本的には下記の治療を行います。
⚫︎骨折部位の固定(ギプスや装具など)
⚫︎鎮痛剤の投与
⚫︎骨粗鬆症の治療薬(骨吸収抑制剤、骨形成促進剤など)の服用
⚫︎リハビリテーション

骨折を繰り返さないためには、骨粗鬆症の予防と転倒などの2次性骨折予防が大切です。
骨粗鬆症の予防については前回も触れましたが、カルシウムやビタミンDなどの栄養の摂取やそれらの栄養を体内で合成するための日光浴、骨に刺激を与える適度な運動などがあります。
また転倒の予防には、バランス感覚や筋力の向上の他、杖の使用や住環境の整備といった工夫が必要です。


骨折自体は時間が経てば治りますが、骨折を繰り返すと寝たきりや要介護状態になるリスクが高まります。
骨粗鬆症は高齢者の健康寿命を縮める危険な病気なのです。
骨量の減少を早期に見つけるためにも、骨密度測定を受けることをおすすめします。

当院では日本骨粗鬆症学会が推奨するDXA法(腰椎で骨密度を測定)で検査を行っていますので、ご自身の骨密度が気になるという方は、お気軽にご相談ください。