院長コラム

スポーツ時のけが いざという時に知っておきたい「RICE処置」

2024.01.16
整形外科の疾患

年が明けて、長野市は寒い日が続いています。
冬は寒さで筋肉が硬くなりやすく、けがをしやすい季節。
運動の前にストレッチなどのウォーミングアップを念入りに行うことで、けがには気を付けたいものです。
さて突然ですが、「RICE処置」という言葉を聞いたことがありますか?
これを知っておくと、いざという時に役に立ちます。
今回は、スポーツ外傷の応急処置について解説します。

スポーツによるけがの応急処置
当院にはスポーツによるけがや故障で受診に訪れる患者さんがたくさんいます。
スポーツによるけがといってもさまざまですが、「スポーツ外傷」と「スポーツ障害」の2つに大きく分けられます。
混同されがちな2つの言葉ですが、じつは意味が異なります。

スポーツ外傷」とは、 運動中に体に一回の大きな力が加わることによって起こる「けが」のこと。
一方、「スポーツ障害」とは、 繰り返しの運動で体の特定部位が酷使されること(オーバーユース)によって起こる「故障」で、「使い過ぎ症候群」とも呼ばれます。

スポーツでけがをした際に役に立つのが「RICE処置」です。
これは、Rest(安静)・Icing(冷却)・ Compression(圧迫)・Elevation(挙上)の4つの頭文字をつなげて名付けられた基本的な応急処置方法です。

肉離れや打撲(だぼく)、捻挫(ねんざ)などの外傷を受けた時などに有効で、早期にRICE処置を行うことで、内出血や腫れ、痛みを抑え、回復を助ける効果があります。
いざという時のために、正しい対処法を身に付けておくと安心です。
それぞれの具体的な処置について見ていきましょう。

RICE処置の4つのステップ
①Rest(安静)
患部を動かさないように安静に保ちます。これは損傷部位の腫れや血管・神経の損傷を防ぐためです。 具体的には、副子(添え木)やテーピングなどで損傷部位を固定します。

②Icing(冷却)
患部を氷や氷水などで冷やすことで、腫れや内出血、痛みを抑えられます。方法はビニール袋やアイスバッグに氷を入れて患部にあてます。15分くらい冷却したら外し、また痛みが出てきたら冷やします。

③Compression(圧迫)
内出血や腫脹を防ぐために、包帯やテープなどを患部に巻いて圧迫ぎみに固定します。きつくしすぎると血流障害や神経障害を起こすので、しびれや変色が生じたらすぐに緩めましょう。

④Elevation(挙上)
患部を心臓より高い位置に保ち、腫れの悪化を防ぎます。患部の下に座布団やクッションなど厚みのあるものを敷くとよいでしょう。

RICE処置は、早期に行うことでけがの回復を助ける効果がありますが、これはあくまでも応急処置。
治療ではないので、処置後はすみやかに整形外科を受診することをおすすめします。
スポーツによるけがで痛みや腫れなどがある場合は、がまんせずに当院までご相談ください。