院長コラム

知っておきたい、「湿布」の正しい使い方

2024.01.29
整形外科の疾患

捻挫や打撲をした時の応急処置や肩こり・腰痛などに、湿布を使う人は多いのではないでしょうか。
薬局に行くといろいろな種類の湿布が置かれていますが、じつは商品によって特徴や注意点が異なります。
これらの違いを知っている人はあまり多くないように思います。
ということで、今回は湿布の選び方や貼り方、注意点などについて解説します。

パップ剤とテープ剤
湿布には、剤形の違いで「パップ剤」と「テープ剤」の2種類があることを知っていますか? それぞれの特徴を見てみましょう。

⚫︎パップ剤
不織布に水分を含む軟膏が塗布された厚みのある湿布です。粘着力が弱い分、かぶれにくいという特徴があります。そのため、背中や腰などの広くて動きが少ない部位に向いています。


⚫︎テープ剤
薄くて伸縮性があり、比較的粘着性が高い湿布です。はがれにくいので肘や膝などの関節部分への使用に適しています。粘着力が強いため、はがす時に皮膚への負担が大きく、かぶれやすいというデメリットがあります。
効き目に大きな違いはないので、使う部位や皮膚との相性などで選ぶとよいでしょう。


冷感湿布、温感湿布の使い分け
冷シップや温シップなどと呼ばれるものですが、その用途は異なります。
それぞれの特徴を理解して、自分の症状にあった湿布薬を使いましょう

⚫︎冷感湿布
腫れや熱感を伴う捻挫や打撲などの急性疾患に有効です。けがをして最初の5~7日間に使うとよいでしょう。鎮痛・抗炎症作用のあるサリチル酸メチル、メントール、ハッカ油などが主な成分です。

⚫︎温感湿布
肩こりや腰痛などの慢性疾患に有効です。鎮痛・抗炎症作用のあるトウガラシエキスや、血管を広げて血行を促すニコチン酸エステルなどの成分が入っています。注意点としては、皮膚刺激が強くかぶれやすいこと。また、体温の上昇で強い刺激を感じることがあるため、入浴前後の30分は貼らないようにしましょう。

湿布の正しい貼り方・使用時に気を付けるべきこと
痛むところに、そのままペタッと貼っていませんか?
正しい貼り方とはがし方を見ていきましょう。

⚫︎正しい貼り方
1.貼る部位の汗や汚れを拭き取り、清潔にしておきます。
2.肩や膝、足首などの関節部分に貼る場合は、フィルムをはがす前にはさみで湿布に切れ目を入れておくと、はがれにくくなります。
3.湿布薬の裏面のフィルムをはがし、十分に伸ばしながら貼ります。ただし、引っ張りすぎると、皮膚に負担がかかりはがれやすくなります。
4.必要に応じて、テープやネット包帯などで固定します。

⚫︎正しいはがし方
はがす際は、周りの皮膚を手で押さえながら、体毛の流れに沿ってはがします。
はがした後は時間をあけて皮膚を休ませましょう。

湿布を使用する際の注意点として、次のことが挙げられます。
⚫︎お風呂上りや汗で濡れている時は使用しない。
⚫︎湿疹や発疹がある部位には使用しない。
⚫︎湿布薬に触れた手で、目、鼻腔、口唇等の粘膜に触れない。
⚫︎かゆみ、かぶれなどの症状が現れた場合はすぐに使用を中止する。

湿布は薬局に行けば簡単に手に入るものですが、湿布といえども薬です。
副作用もあるので、用法・用量を守って正しく使いましょう。
また、痛みが続く場合は、がまんせずに病院を受診してください。
「たいしたことない」と思っても、治療が必要な場合があります。
急性疾患から慢性疾患まで、体に痛みがある場合はお気軽に当院までご相談ください。