院長コラム

関節リウマチとへバーデン結節の見分け方

2023.07.07
ヘバーデン結節とブシャール結節

当コラムでも何度か紹介している「関節リウマチ」と「へバーデン結節」。どちらの病気も手指の関節が腫れたり痛みが出たり、変形変化を起こすことで症状は似ています。しかし、痛くなる部位や痛み方に違いがあります。今回はその違いについて解説します。

症状と原因
関節リウマチは膠原病こうげんびょうの一種で、その中でも最も患者数が多い病気です。
膠原病とは、皮膚、骨、血管、内臓などを形成するタンパク質の一種であるコラーゲンに炎症や変化が起こることで、全身のさまざまな臓器に病変を引き起こす病気の総称です。膠原病は遺伝病ではありませんが、がんや糖尿病と同じようになりやすい体質があると考えられていて、関節リウマチも約3割に家族内発生が認められます。
私たちの体には細菌やウイルスなどの病原体が体に侵入してくるとそれを攻撃して排除する仕組みがあります。関節リウマチはそうした自己免疫の異常により関節の中の滑膜を自分自身の免疫で攻撃してしまうために関節に炎症が起こるのです。その結果、関節の変形、破壊、機能障害を引き起こします。
一方、へバーデン結節は変形性関節症(加齢や使いすぎ)に分類されていて原因は不明といわれていました。しかし、最近になり女性ホルモンや骨粗鬆症と密接な関係があることが分かってきました。

関節リウマチとへバーデン結節の違い
関節リウマチは、全身の関節であればどこでも痛みや腫れが出ます。両側対称性に症状が出やすく、最初に症状が現れやすいのは手首と手指のMP関節(指の付け根の関節)です。
一方、へバーデン結節は、手指のDIP関節(指の第1関節)のみに症状が出ます。同じ症状の病気に、手指のPIP関節(指の第2関節)のみに発症するブシャール結節があります。へバーデン結節とブシャール結節は同じ病気で、手指の第1関節か第2関節かの違いです。


関節リウマチは「朝の手のこわばり」といって、朝起きた時に手指や手首がこわばって動かしづらいのですが、だいたいの人は1、2時間の間に手を動かすことでこわばりが消失します。
へバーデン結節も朝に手がこわばる感じの人はいますが、動かしても症状は消失せずに逆に使えば使うほど痛みがひどくなっていきます。

このように症状は似ていますが、よくよく問診したり診察したりすると違うことが分かります。さらに、X線検査(レントゲン検査)や血液検査などを行うことで鑑別できます。
いずれの場合も放置しておくと症状が進行してしまうため、早期に治療を始めることが大切です。
しっかりと診断することが正しい治療につながりますので、自己診断せずにまずは整形外科を受診しましょう。