院長コラム

日常生活でできる「ロコモティブシンドローム」予防法

2023.12.18
整形外科の疾患

歩いたり立ち上がったりする移動機能が低下し、将来的に介護が必要になるリスクが高まる「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」。
車での移動が多い現代社会では、歩く機会が少なく、移動機能の低下が顕著です。
自覚症状が無くてもロコモになっていたり、すでに進行したりしている場合が多くあることも分かっています。
前回のコラム「ロコモティブシンドロームとは? 歩ける体でいるために知っておきたいこと」では、その原因やセルフチェックの方法について解説しました。
今回は、ロコモを進行させないための対策についてお話しします。

ロコモティブシンドロームの仕組み
前回のおさらいで、ロコモの仕組みを見てみましょう。
加齢・運動不足・運動器疾患・肥満・やせすぎ

運動器の障害による筋力やバランス能力の低下

転倒による骨折などのけが

行動制限による筋力量の減少

要支援・要介護・寝たきり

ロコモティブシンドロームへの対処
ロコモは病気ではなく、運動器の障害のために移動機能が低下した状態を指します。
運動器は日常的に体を動かして負荷をかけることで維持されます。
そのためロコモを防ぐには、適度に運動し運動器を大事に使い続けることが欠かせません。
すでにロコモになっている場合も、運動や食事といった生活習慣の改善が重要です。
まずは運動について、エクササイズの方法を紹介します。

ロコトレ(ロコモーショントレーニング)
ロコモを予防するには、バランス能力をつけて下半身の筋肉を鍛えることが大切です。
バランス能力をつけるには「片脚立ち」、下半身の筋力をつけるには「スクワット」が有効です。
それぞれやり方を解説します。まずは無理をせずに少しずつやってみましょう。

①片脚立ち
1. 真っすぐの姿勢で立ち、床につかない程度に片脚を上げます。
2. この状態を1分間保ちます。
3. もう一方の脚でも行い、これを1日に3回行います。
バランスを崩して転倒すると危険なので、必ずつかまれるものがある場所で行ってください。
支えが必要な人は、机に手や指をついて行っても構いません。


②スクワット
1. 足を肩幅に広げて立ちます。
2. 膝がつま先よりも前に出ないように、2〜3秒間かけて膝を曲げ、ゆっくり元に戻ります。
3. 5〜6回を1セットとし、1日3セット行います。
スクワットができない人は、イスに腰かけ、机に手をついて立ち座りの動作を繰り返します。


ロコモティブシンドロームを予防・改善する食事
ロコモの予防、改善には運動もさることながら、バランスの良い毎日の食事が大切です。
骨や筋肉をつくるタンパク質やカルシウムを多く含む食材を積極的に取りましょう。
また、カルシウムの吸収を高めるビタミンDも意識して取りたいものです。

日常的に意識して取りたい食材を紹介します。
魚   ― タンパク質、カルシウム、ビタミンD
肉   ― タンパク質
卵   ― タンパク質
牛乳  ― タンパク質、カルシウム
野菜  ― ビタミン、食物繊維
大豆  ― タンパク質、カルシウム
海藻  ― ミネラル、食物繊維
果物  ― ミネラル、ビタミン、食物繊維
きのこ ― ミネラル、ビタミンD、食物繊維

ロコモティブシンドロームの改善は、自分の体力や体の状態に合わせて行うことが大切です。
無理をせずに、医師と相談しながら行うことをおすすめします。
セルフチェックでロコモの判定が出た方は、当院にお気軽にご相談ください。
早期に改善に取り組んで、いつまでも歩ける体でいたいですね。